@article{oai:edo.repo.nii.ac.jp:00000652, author = {植田 康孝}, journal = {江戸川大学紀要, Bulletin of Edogawa University}, month = {Mar}, note = {P(論文), クラウドとビッグデータ,人工知能などの情報通信技術(ICT)の発達などにより,テレビの求心性は解体し,その啓蒙機能は著しく減衰したが,完全に消滅した訳ではない。カセットテープやレコード,ラジオや新聞雑誌など過去のメディアでレガシー化したものは全てが滅びた訳ではなく,一部は今も存続している。同様にテレビの役割も,もはや「大衆」という意味の「マス」ではなく,タイムシフトで見ようとする熱心な一部の「コア」な視聴者に向けた「新しい形」で再定義される過渡的な段階にある。本稿では,ニュージーランドMedeia Works が導入したタイムシフト視聴(time-shifted viewing)に関して分析する。同様のサービスは日本において2015 年10 月26 日から期間限定のインターネット見逃し番組配信サービス「ティーバー(TVer)」として提供されているが,放送局がライブ提供する番組と同一の財を,時間制約を緩和して提供するという意味で,異なる特徴を持つ。ニュージーランドMediaWorks グループは,アナログ放送時代にはTV3 とC4(FOUR の前身)の地上波2 チャンネルしか持たなかったが,2013 年の完全デジタル化に伴い,TV3,FOUR に加え,タイムシフト視聴に対応したTV3+1 とFOUR+1 を新設すると共に,ラジオ番組から格上げさせたThe Edge TV(音楽チャンネル),インターネット経由でTV3 をタイムシフト放送するTV3 New(インターネット)の6 チャンネルを運営するようになった。新設されたTV3+1,FOUR+1,TV3 New の3 チャンネルは,アナログ放送時代からあったTV3 とFOUR で放送された番組をタイムシフトして流す再放送用チャンネルである。タイムシフトでは,リアルタイム視聴以外のテレビ視聴行動の多様化・増加により,放送番組の編成や編集の主体が,視聴者サイドにシフトする可能性が高いが,それを食い止めるため,テレビ局自らがタイムシフトチャンネルを設けることにより,テレビ広告視聴のコントロールを確保している。このような新しい戦略は,ニュージーランドの放送形態が2003 年の業界再編以降,垂直分離形態にあることが大きい。日本の放送産業との違いは,日本のテレビ局が「ハード・ソフトが一致」,つまり,アンテナや送信所などの放送局設備を提供する「ハード事業者」と,コンテンツを制作する「ソフト事業者」が一致しているのに対して,ニュージーランドでは,「ハード・ソフト」が分離した制度整備がなされていることにある。国家が財政危機に陥り,先進国の中でデジタル化の整備が遅れたニュージーランドは,TVNZ からハード部門を切り離してKordia に任せることにより,番組制作部門の柔軟な参入が可能になる制度を整備した。結果として,これまで放送新規参入のハードルが高かった放送分野において,Kordia が巨額な設備投資を行って整えた放送インフラを活用して,新規参入者が実質的な放送局として容易に番組を制作・供給することができるようになっている。}, title = {ニュージーランドMedia Works が切り拓くタイムシフト視聴(time-shifted viewing)拡大の新戦略}, volume = {26}, year = {2016} }