@article{oai:edo.repo.nii.ac.jp:00000146, author = {藤澤, 研二}, issue = {21}, journal = {情報と社会, Communication & Society}, month = {Mar}, note = {日本の小売業販売額は,1997 年をピークに減少に転じた。それは小売業の中核を占めるチェーン小売業も例外ではない。むしろ競争の主戦場がチェーン小売業間へと移行した最近は,チェーン小売業の店舗数,販売額の落ち込みが激しい。この間の販売額の減少の背景には,家計収入の伸び悩み,減少がある。さらに今後は,人口,世帯数の大幅な減少 が予想されており,小売市場の構造的な縮小は避けられない。そのため,日本の小売業は,今後,事業モデルの再構築を迫られることになる。すなわち,現状の小売店舗の出店スキームは15 年程度を契約期間とするリース形態が多いが,その契約期間中に人口が1,000 万人前後も減少するため,もはや新店舗への投資は慎重にならざるを得ない。それどころか,現状でも店舗過剰の地域は少なくなく,今後は撤退を含めた立地,業態の見直しは必至だ。そのような中で,多くの小売企業が重要な戦略課題としているのが海外展開だ。従来,日本の小売業の海外展開は遅れていたが,市場が縮小に転じた1990 年代末以降,経済成長が著しいアジア地域を中心に積極的な出店が行われている。 一方,国内では無店舗販売に活路を求める動きが活発化している。本稿では,コモデティ商品における無店舗販売の取り組みとして,最近,小売業が注力する「移動販売」と「ネットスーパー」の2事業を取り上げ,それぞれの現状とその可能性について整理した。 まず,移動販売は古くからある販売形態だが,ここへきて店舗が撤退した過疎地域などで復活し,地域住民の生活を支える重要なインフラとなっている。現代版の移動販売は,多くが小型トラックなどを使用し,商品量も多く,移動範囲も広い。さらに,冷蔵・冷凍設備も備えた専用車両もあり,日々の買物需要を満たすには十分なレベルに進化している。加えて,移動販売が持つ長所である顧客との濃密な関係づくりとそれに基づく相対型の販売スタイルなどは維持されている。また,店舗とのハイブリッド型による品揃えの維持と収益性の確保,さらに生協などによる組織的な事業展開ノウハウの蓄積も進みつつある。今後は過疎地域だけではなく,高齢者が多く居住する大都市等においても,移動販売は小売業の有望な事業モデルになり得る。 一方,ネットスーパーはインターネットの急速な普及と宅配便,カード決済などのサービスの確立で,ここ数年,参入の活発化と市場の拡大がみられる。参入の進展により,ネットスーパーの事業モデルは多様化が進んでいる。なかには,宅配事業者に受発注から配送までを委託する形態も登場している。現状では,各モデルとも試行錯誤の段階 にあるが,顧客指向の諸サービスを展開し,同事業で黒字化を実現した企業が登場するなど,事業ノウハウの蓄積も進みつつある。日々の買い物の負担を大幅に軽減するネットスーパーは,今後,発注方法の簡便化やサービス地域の拡大等が進めば,一層の成長が見込まれる。これら無店舗販売の事業モデル確立に向けた小売業の動きは,人口減少とともに急速に進む高齢化が背景にある。高齢社会では,これまで小売業が一貫して追求してきた効率化だけでは対応しきれない課題も多い。今後は,数の減少をサービスなどを付加した質でカバーすることも必要になろう。さらに,流通システムと密接にかかわる都市構造や交通システムの再検討,あるいはコミュニティレベルで消費者自らが対応を求められる場面も増大しよう。}, pages = {15--30}, title = {新しいビジネスモデル構築への模索が続く小売業 ─ 無店舗販売に可能性を求める ─}, year = {2011}, yomi = {フジサワ, ケンジ} }